マランツの今一番売れているプリメインアンプ「NR1200」、その後同じくマランツから発売されたプリメインアンプ「PM7000N」。
この二つのプリメインアンプのどちらを選べばいいのか悩んでおられる方も多いはず!
そこで今回は、「PM7000N」と「NR1200」の機能、性能などを徹底比較!
ご自身にとってどちらがおすすめか検討してみてください。
「PM7000N」と「NR1200」の価格比較
定価は、
「PM7000N」が132,000円(税込み)。
「NR1200」は88,000円(税込み)。
実売価格は、(2021年8月22日時点)
「PM7000N」が約102,600円。
「NR1200」が70,400円となっています。(価格.comより)
実売価格は、製品としてはまだ新しい「PM7000N」は、発売日から今も徐々価格が下がっている傾向があります。
しかし、「NR1200」は60,000円を下回る価格での販売されることもあるので、何よりもコストを優先されるなら、「NR1200」の方が安く、浮いたお金でブックシェルフスピーカー代も捻出できるのでおすすめです。
「PM7000N」と「NR1200」のサイズ比較
次に比較するのは「PM7000N」と「NR1200」のサイズです。
一見、同じ大きさに思えますが、数センチの違いがあります。
数センチの差のために予定していた設置場所に納まらなくて後悔…。なんてことがないようにちゃんとチェックしておきましょう。
「PM7000N」の方が「NR1200」と比べ、高さが20㎜、奥行が1㎜大きい。
「PM7000N」の方が20㎜高いのは、「PM7000N」が「NR1200」と比べさらに音質を向上させるために採用されている部品の形状やレイアウトのためと思われます。
「PM7000N」には、瞬時に電流供給能力を向上させるためにパワーアンプ用電源回路と出力段を一体化したショート・パワーライン・レイアウトや、音質を安定させるための電流帰還形のフルディスクリートパワーアンプが搭載されています。
電源自体も「NR1200」と比べパワーアップされているので、その分本体のサイズも大きくなります。
「PM7000N」と「NR1200」のより詳しいサイズ
「PM7000」と「NR1200」の詳しいサイズを見てみましょう。
Bluetoothアンテナを立てた場合は「PM7000N」の方が25㎜高くなるので注意が必要です。
「PM7000N」と「NR1200」の機能比較
アンプを選ぶ上で最も重要な「PM7000N」と「NR1200」の機能を比較してみましょう。
「HDMI端子」の有無を比較
2つのアンプの一番特徴的な差は「HDMI端子」の有無です。
「NR1200」はプリメインアンプでは珍しく5入力1出力の「HDMI端子」が搭載されているので、TV、Blu-rayプレーヤー、PS4、Nintendo Switch、PCなど幅広いコンテンツを楽しむことができます。
しかも、全てのHDMI端子が4K / 60p / 3D / ALLM / ARC / CEC / HDR10 / HLG / BT.2020 / HDCP 2.3に対応。
特に「BT.2020」とは、従来のHD映像の2倍以上の広色域表現を可能にする技術。
これによりUltra HDブルーレイやストリーミング配信、 テレビ放送など幅広いソースで4K/HDRコンテンツの圧倒的な高画質を「NR1200」で存分に楽しむことができるのが大きな魅力です。
一方「PM7000N」に「HDMI端子」は搭載されていませんが、光デジタル端子があるので、TVなどの音声接続は可能です。
しかし、「PM7000N」は「HDMI端子」が搭載されていない分、電気的なノイズも少なくなるため、音質の面では「PM7000N」が優秀と言えます。
そのため、音質重視なら「PM7000N」。映像を楽しみたい方には「NR1200」の方がおすすめです。
「バイワイヤリング接続」の有無を比較
バイワイヤリング接続とは、低域側と高域側を独立させた状態で、それぞれのスピーカー端子にケーブルを接続する方法です。
これによりウーファーから発生する「逆起電力」というノイズの原因を解消することができます。
バイワイヤリング接続に対応しているのはスピーカー出力が2系統ある「NR1200」です。
バイワイヤリング接続により、音質への逆起電力の影響を抑え、音質が低下しないように工夫されています。
しかし、バイワイヤリング対応スピーカーは数が少なく、比較的高価なものが多いのでコストが嵩むのでバイワイヤリング接続は長所であり短所でもあります。
もし音質を重視されるなら、「PM7000N」を選択して、ご自分の好みにあったスピーカーを選択されることをおすすめします。
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DACの性能を比較
「DAC(Digital to Analog Converter)」とは、デジタル信号を私たちの耳に聴こえるアナログ信号へと変換するためのもの。「DAC」はアンプの性能、音質を大きく左右する機能です。
「PM7000N」と「NR1200」にも搭載されている「DAC」の性能を比較してみましょう。
「PM7000N」の「DAC」には、マランツの上位モデルのAVプリアンプ「AV8802」(税抜価格450,000円)でも採用されていた旭化成エレクトロニクス製 32bit ステレオプレミアムD/Aコンバーター「AK4490EQ」を搭載されています。
「PM7000N」は「AK4490EQ」にマランツ独自の「HDAM回路(「Hyper Dynamic Amplifier Module)」を組み合わせ、ディスクリートのアナログ出力回路を構成しています。
この「HDAM回路」による音質面でのメリットは、S/Nが高い(ノイズの影響を受けにくい)ことと、高速応答性つまり入力した信号に対して、音が立ち上がるカーブがハイスピードで高い安定性を持つことです。
「HDAM回路」の性能は、シンバルのアタック音など、音の立ち上がりが早いという特徴がある楽器などがアンプから出力される時に特に性能を発揮します。
音楽信号としてもともと立ち上がりの早い音がアンプに入力されても、アンプで増幅し出力した時には実際の立ち上がりより遅れてしまい、正確に音が再現されないことが往々にしてあります。
そういった立ち上がりの速さと正確性と可能にするのが、「HDAM回路(「Hyper Dynamic Amplifier Module)」です。
つまり「HDAM回路」の搭載されている「PM7000N」では、より正確で原音通りの音が楽しめるというわけです。
それに対し「NR1200」には、マランツの上位モデル「SR7010」(税抜価格230,000円)に採用されていた旭化成エレクトロニクス製 32bit D/Aコンバーター「AK4458VN」が搭載されています。
「NR1200」では「AK4458VN」をL/Rそれぞれに2ch、合計4chのD/Aコンバーターを用いるダブル・ディファレンシャル構成のD/A変換回路を採用しています。
これにより処理能力の向上、ノイズの低減がはかられています。
合計4chものD/Aコンバーターを使用している「NR1200」の性能も確かに高いのですが、「PM7000N」に搭載されている「AK4490EQ」と「HDAM回路」を組み合わせた機能による、音の立ち上がりの速さ、再現性、安定性などのメリットは、音を楽しむ方とって魅力的でおすすめの機能です。
そのため、やはり音質重視なら「PM7000N」がおすすめです。
パワーアンプ部の性能を比較
「PM7000N」と「NR1200」の比較で、音質に大きな差を生み出している理由がパワーアンプ部にもあります。
それは「PM7000N」に搭載されている、「フルディスクリート電流帰還形パワーアンプ」です。
そもそもアンプとは、アンプに送られてきた微弱な音の信号を増幅する機械のことを指しますが、小さな字を拡大鏡で見るように、原音の信号をそのまま綺麗に音を増幅することはできません。
なぜなら、音の信号を半導体(トランジスタやFET)という非直線型の機器を通して増幅するため、その過程で歪みが生じてしまったり、温度変化などで動作が安定しないからです。(下図参照)。
この問題を解決するのが、フルディスクリート電流帰還形パワーアンプです。
この「帰還」とはアンプ回路の出力の一部を入力に戻すことを指しています。
この電流帰還機能により、音の信号の入力と出力を比較して、「入力に対して出力が高くなった場合には下げる」、「入力に比べて出力が小さくなった場合は上げる」といった動作をさせりことで、半導体を通って増幅された際にできた音の信号のバラツキや歪みを平坦化することができます。
さらに、フルディスクリート電流帰還形パワーアンプはカバーする周波数帯域が広いという特徴を持つので、ハイレゾ音源が中心になったオーディオ業界においてさらなるメリットを生み出します。
CDメインの時代は高音域は20kHzまでしか録音できないので、その範囲をカバーできれば問題ありませんでした。
しかし、ハイレゾ音源の登場により50kHzや100kHzという高域を含む音楽信号を扱うようになったため、広帯域にわたって安定した出力を出せる電流帰還形パワーアンプを搭載した「PM7000N」は、「NR1200」に比べハイレゾ音源をより高品質な音を楽しむことができます。
この観点から見ても音質面で考えるなら「PM7000N」がおすすめであることがわかると思います。
フォノイコライザーの機能を比較
MMカートリッジ対応のPhono入力を装備している「PM7000N」と「NR1200」の購入を検討しておられる方の中には、レコードプレーヤーの音も楽しみたいと考えておられる方も多いと思います。
この分野でも、「PM7000N」と「NR1200」には大きな差があります。
それは「PM7000N」に同じマランツのプリメインアンプ「PM8006」と同様の「J-FET入力」を採用されている点です。これによりS/Nの向上と低歪化を実現しています。
オペアンプの初段(差動増幅部)のみを接合型FETで構成したもので、入力インピーダンスが高くなることや、バイアス電流が少なくなる。
つまり、入力端子に流れ込む微少な電流、もしくは入力端子から流出する微少な電流が少なくなり、信号の精度を低下させない構成のこと。
また、入力カップリングコンデンサーを無くすことにより、信号の純度を高めています。さらに電源ラインにリップルフィルターを追加することにより、クリーンな電源供給を可能にすることで音質の向上がはかられています。
レコード特有の温かみのある豊かな音を忠実に再現するために、十分なチューニングが施されているので、レコードの音をより楽しみたいと考えておられるなら「PM7000N」がおすすめです。
Bluetooth機能を比較
「PM7000N」にも「NR1200」にもBluetooth機能は搭載されています。
大きな違いは「PM7000N」はBluetoothの受信のみに対し、「NR1200」は受信と送信の両方が可能です。
「NR1200」のBluetoothの送信機能のメリットは、Bluetoothイヤホンやヘッドホンで音楽や映画を楽しめること!
有線では動きにくかったりして、行動範囲が狭められますが、Bluetoothであればリビングで「NR1200」から再生している音をBluetoothイヤホン・ヘッドホンを介して、キッチンや他の部屋でも楽しめます。
深夜に良質な音楽を大音量で楽しんだり、家族を気にせず映画や音楽に集中したい方には「NR1200」がおすすめです。
「NR1200」の詳しい機能レビューやおすすめのスピーカーについてはこちら👇
「PM7000N」と「NR1200」のスペック表
アンプ | 「PM7000N」 | 「NR1200」 |
定格出力 | “60 W + 60 W (8 Ω、20 Hz 20 kHz、両チャンネル同時駆動) 80 W + 80 W (4 Ω、20 Hz 20 kHz、両チャンネル同時駆動)” | “75 W + 75 W (8 Ω、20 Hz 20 kHz) 100 W + 100 W (6 Ω、20 Hz 20 kHz、THD 0.7 %)” |
適合インピーダンス | 4 16Ω | 4 16Ω |
全高調波歪率 | 0.02 %(8 Ω、20 Hz 20 kHz、両チャンネル同時駆動) | 0.08 % |
周波数特性 | 5 Hz – 100 kHz (±3 dB) | 10 – 100 kHz ( +1、-3 dB、ダイレクトモード時 ) |
ダンピングファクター | 100以上 | |
出力電圧 | サブウーファープリアウト: 240 mV | 110W+110W(負荷6Ω、1kHz T.H.D. 10% 2チャンネル駆動 JEITA) |
PHONO最大許容入力 | MM: 80 mV(1 kHz) | 130 mV |
RIAA偏差 | ±0.5 dB(20 Hz – 20 kHz) | ±1dB(20Hz~20kHz) |
S/N比(IHF Aネットワーク、8Ω) | “PHONO(MM): 87 dB(5 mV入力、1 W出力) CD / AUX / RECORDER: 115 dB(2 V入力、定格出力)” | 98 dB (IHF-A、ダイレクトモード時 ) |
HDMI端子 | なし | 入力×5、出力×1 |
音声入力端子 | アナログ×3、Phono(MM)×1、光デジタル×2、同軸デジタル×1 | アナログ×3、Phono(MM)×1、光デジタル×1、同軸デジタル×1 |
音声出力端子 | RECアウト×1、サブウーファープリアウト×1、ヘッドホン×1 | 2.2chプリアウト×1、ゾーンプリアウト×1、ヘッドホン×1 |
その他の端子 | “ネットワーク×1、USB-A×1、Bluetooth / Wi-Fiアンテナ入力×2、マランツリモートバス(RC-5)入出力×1” | “ネットワーク×1、USB(フロント)×1、 Bluetooth / Wi-Fiアンテナ入力×2、 FMアンテナ入力×1、AMアンテナ入力×1、 マランツリモートバス(RC-5)入出力×1、IRフラッシャー入力×1” |
無線LAN(ネットワーク種類 / 周波数) | IEEE 802.11 a/b/g/n準拠(Wi-Fi®準拠) / 2.4 GHz、5 GHz | IEEE 802.11 a/b/g/n準拠(Wi-Fi®準拠) / 2.4 GHz、5 GHz |
Bluetooth | “バージョン 4.1 対応プロファイル A2DP 1.2、AVRCP 1.5 対応コーデック SBC 送信出力 / 通信距離 Class 1 / 約30 m(見通し距離)” | “バージョン 4.1 対応プロファイル A2DP 1.2、AVRCP 1.5 対応コーデック SBC 送信出力 / 通信距離 Class 1 / 約30 m(見通し距離)” |
消費電力 | 220 W | 210 W |
待機電力 | “0.5 W(通常スタンバイ) 5.5 W(「ネットワーク制御」オンの場合)” (2020/10/30 ネットワーク制御時の数値を訂正) | “0.2 W(通常スタンバイ) 0.5 W(CECスタンバイ)” |
最大外形寸法 | “W440 x H125 x D379 mm (アンテナを寝かせた場合) W440 x H190 x D379 mm (アンテナを立てた場合)” | “W440 x H105 x D378 mm (アンテナを寝かせた場合) W440 x H175 x D378 mm (アンテナを立てた場合)” |
質量 | 10.8 kg | 7.9 kg |
付属品 | かんたんスタートガイド、取扱説明書、リモコン(RC004PM)、単4形乾電池 × 2、Bluetooth / Wi-Fiアンテナ×2、電源コード | “かんたんスタートガイド、リモコン(RC041SR)、単4形乾電池 × 2、 FM室内アンテナ、AMループアンテナ、Bluetooth / Wi-Fiアンテナ×2、 電源コード” |
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